大友良英 with あまちゃんスペシャルビッグバンド〜アンサンブルズ・パレード・プレ・コンサート〜

10倍近い抽選倍率をくぐり抜けて当選した友人に連れていってもらうという僥倖を得ました。言わずとしれたNHK朝ドラ「あまちゃん」の音楽を担当した大友さんと、その劇伴録音参加メンバーによるスペシャルビッグバンドの初ライブ！
あのオープニングを始め、劇中で聴き馴染んでいるあれやこれやをいっぱい、生演奏で聴けて、楽しかった！

あまちゃんスペシャルビッグバンド
大友良英（作曲、ギター）、鈴木広志（サックス)、大口俊輔（アコーディオン）、齋藤寛（フルート)、井上梨江（クラリネット）、江川良子（サックス)、東涼太（サックス)、佐藤秀徳（トランペット）、今込治（トロンボーン）、木村仁哉（チューバ)、小林武文（パーカッション）、相川瞳（パーカッション)、上原なな江（パーカッション)、芳垣安洋（パーカッション）
ニュースリリース 2013年04月22日｜アサヒビール

上記がニュースリリース時に発表されたメンバーですが、当日はここに江藤直子さんと近藤達郎さんがキーボードなどで加わっていました。
大友さんが一曲ずつ解説を入れながらの進行。人柄の出る親しみやすい語り口で、制作やドラマの裏話も交えて。ときに曲より喋ってる方が長くなりそうになったりしつつ、それもまたすごく面白かった。曲解説自体はサントラ盤にも付いていますね。最初に使われた場面、作曲のイメージ、その後のよくある使われ方、レコーディングの逸話、クドカン脚本や出演者さん達へのコメントなど。大友さんがダイアリーに書いたりツイッターで話題になったテーマ曲が選挙活動に使われた云々に関して「スカなんて縁起が悪いのにねぇ」などとちょっと皮肉も飛び出したり。あと「（ドラマの）先のこと話すとみんなにすっごい怒られるんだよね、だから嘘つくことにしたの。『ユイちゃんは実は宇宙人なんだよ』とか」も言ってた（笑）
どの曲も、聴けばすぐ、ああ！って使われてる場面の雰囲気が浮かんだり。ドラマを見ているときにはでも、そこまで意識してないことも多いけど、改めて聴くとちゃんと聴き馴染んでいる。そして楽しい曲は演奏を見るのも楽しいし、改めていいなぁと沁みる曲も多かったです。「海」とか「アキのテーマ」とか。ドラマの中での使われ方、実際に映像に音楽をつけていくのはNHKの音響デザイナーのチームで、けっこう挑戦的なやり方で曲を長く流してたりしている、という話もありました。今後ドラマを見ていくときに、ますます注目してしまいそうです。
エピソード的に面白かったのは、「アイドル狂想曲」の『過疎の村に急にオタクが押し寄せて大変なことになるって言う曲を作ってください』というリクエストに応えるのに、演奏陣が本当にそういうアドリブをしてくれて、へんてこなアコーディオンやサックスのアドリブがたまらない、という話とか。しかもそれを、今度ブラスバンド用の楽譜を出すのに専門の人がアドリブ部分まできっちり譜面に起こしてくれて、それをオーケストラで完全再現してくれた、なんていう。そんなふうに録音現場で生まれてくる部分も多いからこそ、これまでにもう200曲も作ってまだ今も録音が続いているという状況になっているのでしょうね。そんな演奏者のみなさんともどもの和気藹々と楽しそうな雰囲気も伝わってきました。
今回のバンドの中心になっているのは、チャンチキトルネエドというバンドのメンバー*1。2年前のすみだアートプロジェクトのイベントで、このコンサートの主催であるアサヒの方からの紹介で大友さんとチャンチキトルネエドが共演したことが、そもそも今回あまちゃんの音楽につながったのだとか。
そのチャンチキトルネエドのメンバーは芸大出身者が多く、大学時代からの仲間なのだそう。大友さんが「野外でやるような人は譜面とか読めないのかと思ったら、みんな俺からしたらムカつくらいの経歴で」とかって言ってて可笑しかった。「しかもみんなすげー仲良しで、今でも年末にはプレゼント交換会とかするんだって、2000円以内でって小学生みたいだよね」なんて余談まで（笑）。その中には東京中低域でもソロなど吹いているサックスの鈴木さんと東さんの姿もあり（出てきてから気づいた）。東さんは芸大の管打楽器科首席卒業なんだと、鈴木さんが大友さんにばらして、大友さんが「全然おもしろくないよー」なんていう一幕も（笑）。
同じメンバーが7/20、今年のすみだ川アートプロジェクトのイベントにも出るそうです。というかもともとそっちが決まっていてそのプレコンサートして昨日のコンサートを決めたのに、あまちゃん人気で大変なことに、ってことだったみたい。こちらも楽しそうですねぇ。