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行ったライブメモ

「あまちゃん」スペシャルビッグバンドコンサートファイナル

9月に終了した朝ドラ「あまちゃん」の、劇伴音楽の作曲大友さんと録音メンバーによるスペシャルビッグバンド、大友さん曰く「卒業し損ねた落第組」の最後のコンサートツアー、ホール公演はこれが最後というNHKホールに行ってきました。6月には幸運にもこのバンドの初ライブも見ていて、最後にまた見られて嬉しい限り(まだ年末にPIT INNでありますが)。
セットリストや、大友さんのトークについては、プロのレポートが詳しいのでそちらにリンクするとして、自分の感想だけ簡単に。
出演者からビデオレターも!あまちゃんバンド最終公演大盛況 - 音楽ナタリー
【ライブレポート】「『アキのテーマ』は“旧・潮騒のメモリー”」 裏話満載の大友良英&『あまちゃん』スペシャルビッグバンドのツアーが終了 | BARKS

  1. オープニングテーマ

バンドメンバー:

  • 大友良英(G)
  • 江藤直子(Piano)
  • 近藤達郎(Key, Harmonica)
  • 齋藤寛(Flute)
  • 井上梨江(Clarinet)
  • 鈴木広志(Sax)
  • 江川良子(Sax)
  • 東涼太(Sax)
  • 佐藤秀徳(Trumpet)
  • 今込治(Trombone)
  • 木村仁哉(Tuba)
  • 大口俊輔(Accordion)
  • かわいしのぶ(B)
  • 芳垣安洋(Dr)
  • 小林武文(Dr, Per)
  • 相川瞳(Per)
  • 上原なな江(Per)
  • Sachiko M(Sinewave)

オープニングテーマから始まった一部では、テーマ曲と同じくらいなじみ深い、よく使われていたなという曲や、キャラクターつけられた曲が多く。クレッツマーを皮切りに、各メンバーのソロを順に回していくところが多くあり、サントラとして使われたりCDに収録されたりしているよりもだいぶ長く膨らませていて、インストバンドのライブにふさわしい発展形になっていました。もともと楽しい楽曲が、ソロ回しでさらに楽しく。クレッツマーのてんやわんやぶりとか凄かった。あと「地味で変で微妙」も、初めすごい全体で音を揃えてきて、なんかすごくカッコイイと思ったら、その後「微妙」なところが本当に微妙に、なんとも言えない“もやん”としたズレをバンド全員で出してきて、だけどそれが絶妙にまとまっていて、すごいなと。もともとみんな上手い人たちなのはもちろん、大友さんの自由にさせてながら全体をまとめるバンマスの腕もあり、さらにそれがツアーを回ってきて本当に集大成的に出来上がっていると感じました。自由で楽しそうですっごく上手い。そういうこのバンドの楽しさを堪能できた前半。ラストの「アイドル狂想曲」では、ソロで一人ずつが表現する北三陸の街のてんやわんやぶり、焦って前のめってる感じが楽しくて仕方なかった。
あと、さすがNHKホールで、NHKお膝元ですから、カメラも入ってるし、舞台演出も凝っていて、背景や照明が曲に合わせてどんどん変わっていくのが豪華でした。「銀幕のスター」のときの銀色の上品なキラキラとか、その後「芸能界」になったらその上に怪しげなライトが踊ったりとか。
二部の冒頭では、なんと言ってもSachiko Mさんがゲスト登場しサイン波演奏で加わった2曲、「トンネル〜大地」と「友情と軋轢」が圧巻。今回一番、ライブで聴きたかったところでもあり。音響の良いホールで聴くSachiko Mさんのサイン波と、大友さんのノイズギター、素晴らしかった。じっと集中して聴き入ってしまう。サイン波が脳を貫いていく感じ。
その後に、場を一転させるように、アキちゃんこと能年玲奈ちゃん、宮本信子さん、そしてクドカンからのメッセージビデオ。アキちゃんのコメントはだいぶ用意してたみたいだったけど、宮本さんとクドカンは急に捕まえてお願いしたのか、その場で考えて答えてる感が。しかし宮藤さんの言っていた「楽曲に大友さんの人柄が出ている」は本当だなぁと思いました。「暦の上ではディセンバー」の作曲に関しては、大友さんと記憶の齟齬なのか、テキトーなのか、いろいろ笑える話になりましたが。
演奏に戻って、後半は進むにつれてドラマの芯に触れていく曲が出てくる。「暦の上ではディセンバー」も、初めは東京編でのアキにとっての嫌な東京の曲だったのが、だんだん自分でも頑張っていく曲になる、とか、「アキのテーマ」は「旧・潮騒のメモリー」だったとか、「地元に帰ろう」はアキが北三陸に帰るときの曲でもあるけど、アキにとっての地元は本当は世田谷では?でも北三陸だって、自分で決めて良いんだっていうことが素晴らしい、という話があったり。「希求」は、ユイちゃんが東京に行けなくなってアキちゃんに「絶対後から行くから!」って泣きながら叫んで見送るシーンで使われていて、「俺、あのシーンで何回見ても泣いちゃう」と言う大友さん。他にもいろいろドラマのどのシーンで使われたという解説はたくさんあって、大友さん本当にすごく細かく台詞とかいろいろ覚えてるなーって、仕事してるんだから当たり前かもしれないけど、それにしてもこの「あまちゃん」という作品に対する愛情があふれてました。
「海」は一番最初に作った曲、まだ脚本も見ていない頃に久慈の海を見て作ったと。「自然を見て曲作るなんて絶対やらないんだけど、これは出来ちゃった、もうこれっきりないと思う」と。そして、最初にデモを録るときにメンバーに渡した譜面はスカスカで、でもそれで曲を作り上げてくれた、という話も。
そういう大友さんの解説もあって、でもあるけど、後半のほうの曲を聴いていると本当にドラマの世界が蘇ってくるようでした。私はそんなに「あまロス」ではなかったし、9月に終了してから録画を見直すようなこともほとんどしてなくて、見ている間は確かにすごく楽しんでいたけど、終わってからは普通に離れていた。サントラは買ってときどき聴いてもいるけど、それもいくつかの曲をばらばらで、だし。でもそれが、ここで生演奏を聴いたら急にあまちゃんワールドが蘇ってきて、なんだか身近に感じられた。あれが現実にあったみたいな、「北三陸市」が現実に存在しているかのような。それで、ああ夏に久慈に行っておけば良かった、なんて思ったりして。ちょっと不思議なくらいに、そこにあまちゃんの世界がありました。

席は3階でだいぶん遠かったので、演奏者の表情までは見えなかったのですが、上から俯瞰で全体が見えて。パーカッションが、細かくは分からないけどとにかくいろいろやっていて楽しそう。あと、二部のときアンコールのときと、後列のパーカッション隊やベースのかわいしのぶさんが、とっても楽しそうにスキップで登場するのもよく見えて、こっちも楽しくなりました。
アンコールに、まだやってなかった「潮騒のメモリー」。メッセージビデオにキョンキョンがいなかったから(ちょっと聞きたかったなぁ、小泉さんの好きな曲とか)もしかしたらもしかして…なんてことは、起こらなかったんですけど(笑)大友さんが「みなさんの中で、春子でもアキでも鈴鹿さんでも、好きな歌を載せてください。ていうか、好きに歌ってください」って言って、本当に客席から合唱が起こるという!すごいなー。この曲、本当に愛されているんですね。さすがに2番になると歌詞があやしくなりますが。その分、各楽器の音色を変えながら歌を表現していくところをよりじっくり聴けました(「地元へ帰ろう」でも楽器の音色で、歌のパート分けが表現されるようで良かった)。
そして、オーラスにもう一度、オープニングテーマ!これも拡張版で、終わるかと思ったらもう一度リフレインもあって。名残惜しみながらのフィナーレ。

会場では「あまちゃんスペシャルギャラリー」も開催され、ドラマで使われた衣装やセットなどの展示があり、海女コスプレや顔出し看板で写真を撮るコーナーには開演前も終演後も長蛇の列ができてました。本当にすごい人気だったんだなぁ。客層も本当に幅広く、子供からお年寄りまで、さすが朝ドラ。
カメラはかなり本格的に入っていたので、NHK放映もありそうだし、大友さんから「ビクターにはDVD出したいと言われている」という話もあったので、期待したいですね。あと、メンバーの譜面台や、スクリーンに出ていた「あまちゃんスペシャルビッグバンド」のロゴ?大友さんを模したらしいキャラクター(顔は似てないけどw)もついててかわいくて、ステッカーでもあったら買いたかったくらいだけどなかったし、DVDパッケージにでもついてきてほしいなー。