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行ったライブメモ

『GUERNICA〜IN MEMORIA FUTURI  ゲルニカ20周年記念完全盤』発売記念イベント

GUERNICA IN MEMORIA FUTURI~ゲルニカ20周年記念盤~

GUERNICA IN MEMORIA FUTURI~ゲルニカ20周年記念盤~

上野さんは、写真と、今回の記念盤CDのライナーノーツから受けた印象通りの、上流階級チックで、繊細そうな、神経質そうな、独特の空気を持つ、芸術家肌の方でした。かなり緊張してらした様子で。
いろいろなお話があって、面白かったです。ゲルニカ結成当初の話とか、また今回のCD発売に当たっての話とか。インタビュアーとして、レコード会社の方が二人、プロデューサーさんと販促の女性の方が質問とかしていたんですが、上野さん、かなり明け透けに、「今回のCDに未発表音源を入れた、その心境の変化などは?」「いや、商品価値を出さないといけないし…」とか言っちゃって、そういうところもなんていうか危うげな芸術家的なものを感じたりして。
後半には、集まったお客さんから事前に募集していた質問に答えていただくコーナーもあり、いろんな質問が出ていました。けっこう20代の人からの質問が多かった印象。同年代いるんだなぁ、と思って。
上野氏的ゲルニカ曲ベストスリーは、3.動力の姫、2.絶海(意外?)、1.大油田交響楽(意外??)、またお気に入りというか、ピアノなどでよく弾いてしまう曲はスケエテヰング・リンク、とのこと。それから、最近のハマリモノは「チェブラーシカ」。ロシア語も勉強中。進行役のお姉さんが「ロシア語にハマっているということで…」ってしめてたんだけど、「いや、チェブラーシカ…」って呟いてたのがかわいらしかったです。
そして、「今後ゲルニカでライブをやる可能性は?」という質問があったんですが、お答えはノーでした。「今はボーカルものじゃなく、インストゥルメンタルのほうに興味があり、そっちをやりたいので」。ただ、最近やっているジャズ系のバンドの活動ではボーカルも入り、ライブでゲルニカの曲をイタリア語ボーカルでやることもあるかもしれない、とのことでした。
まぁ、ゲルニカ再結成なし、というのは、残念ではありますが、仕方ないかな、と。
今回、生の上野耕治さんという人を見て、この人と戸川純さんが一緒に組んでやっていたということ自体が、なんだかすごい、ほとんど奇跡みたいなことだったんじゃないか、という気が、したのですよ。CDブックレットの年表に「メンバー間の衝突が激化し活動休止」とあって、当時のことはまったく知らないけれど、なんとなく分かるような気がする。上野さんも純さんも独特で繊細で危うげなところがあり、知らないけれどもう一人の太田さんも描かれる絵のセンスからいってやはりふつうの感性ではなさそうだし、そういう3人が一緒にやっていくというのは、ひどくきわどいバランスの上に成り立っていたんじゃないかと。そしてそこから生まれてくる音楽があれだったんだ、と思うと、ゲルニカの音楽はやはり、ひとつの極点(と細野晴臣さんがライナーに書いている)なんだなぁ、と実感するわけで。
だから、今回の一連の20周年記念行事、http://www.n-two.net/guernica.html設立から、このトークまで、あってくれて、それによって私のようなリアルタイムじゃない世代もゲルニカの何たるかを知ることができて(かなり勝手な想像コミだけど)、本当に良かったと思います。それが、上野さんの失業したイギリス人のお友達を助けるために始められたことであっても(笑)、結果としては単に商業的なことでなく、意義のあるものになったんじゃないかと思います。